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吉越 章隆; 小川 修一*; 高桑 雄二*
放射光, 35(3), P. 157, 2022/05
大気圧光電子分光[AP(Ambient Pressure)-XPS]は、2000年ごろから気体-表面反応の観察を目的に世界の放射光施設で次々に稼働し、現在では、液体,固液界面の観察にも利用されている。表面現象の真の姿を捉えるツールとして著しい技術の発展と利用研究が進んでいる。放射光学会誌の特集号としてAP-XPSを取り上げ、その企画説明をする。
高桑 雄二*; 小川 修一*; 吉越 章隆
放射光, 35(3), p.158 - 171, 2022/05
放射光を用いた大気圧光電子分光(Ambient Pressure X-ray Photoelectron Spectroscopy: APXPS)による表面反応観察は2005年頃より急速に普及し、触媒などの固相/気相界面、電池などの固相/液相界面、イオン液体などの気相/液相界面の実用的研究分野で広範囲に利用されている。本解説ではAPXPS開発の黎明期、Si気相成長とSi酸化反応キネティクスのリアルタイム観察、APXPSの課題と今後の展望について述べた。
豊田 智史*; 吉村 真史*; 住田 弘祐*; 三根生 晋*; 町田 雅武*; 吉越 章隆; 吉川 彰*; 鈴木 哲*; 横山 和司*
放射光, 35(3), p.200 - 206, 2022/05
大気圧光電子分光(AP-XPS)に立脚する多層積層薄膜界面の時空間深さ方向解析法の開発状況を述べた。初めに、時分割近大気圧硬X線角度分解光電子分光データによる深さ方向解析を行った。次に、空間分解能が備わった時分割角度分解AP-XPSデータの高速ピークフィッティングによる深さ方向解析法へ発展させ、酸化還元反応条件下での時空間深さ方向解析を実現した。また、スパースモデリングのジャックナイフ平均を組み合わせた、従来型の最大エントロピー法(MEM)が高い精度で深さ方向分布の動態計測に有効であることを述べた。
松村 大樹; 加藤 和男*
放射光, 34(1), p.3 - 11, 2021/01
分散型光学系を用いたX線吸収微細構造(X-ray absorption fine structure: XAFS)分光法は、機械的に動く機構が無いという特徴から、高い実時間分解能と高い相対精度が期待できる。我々は「その場」かつ「時間分解」XAFS測定システムを立ち上げ、多くの反応系に適用させ、化学反応の真の姿を理解するという目的の下、研究開発を行ってきた。分散型光学系によるXAFS測定のこれまでの研究を概説すると共に、手がけたいくつかの研究例を説明する。
吉越 章隆
放射光, 32(4), p.185 - 198, 2019/07
放射光軟X線光電子分光は、固体表面の化学状態の精密分析に適した手法である。SPring-8の軟X線放射光を使うと気体孤立分子の固体表面との間で起きる化学反応を実時間"その場"観察する放射光リアルタイム光電子分光が可能となる。酸素分子による表面酸化は、半導体絶縁膜の形成などの表面機能化や燃料電池の電極反応、三元触媒反応や錆(腐食現象)などナノテクノロジー, 環境・エネルギー, 物質・材料のさまざまな研究分野に関係する重要な反応である。本稿では、シリコン単結晶の表面酸化における酸素吸着反応に焦点を当てる。著者が進めてきた一連の研究の紹介を通して、固体表面における分子吸着反応研究の重要性とそのメカニズム解明あるいは新規反応探索に対する放射光リアルタイム光電子分光の有用性を述べるとともに将来展望を試みた。
吉越 章隆
放射光利用の手引き, p.130 - 138, 2019/02
次世代放射光利用に関する啓蒙書の分担執筆を行う。2018年出版の論文[Appl. Phys. Lett.112 (2018) 021603]の内容を解説するとともに、次世代放射光を光源とする光電子顕微鏡の発展と環境試料や絶縁性機能性材料分析への可能性を記述する。
岡本 芳浩; 永井 崇之; 塩飽 秀啓
放射光, 31(4), p.274 - 280, 2018/07
ガラス固化技術は、放射性廃棄物の処理法として有望であるが、多くの種類の元素をガラス原料内に安定に閉じ込めることが要求されており、それらを確認する必要がある。我々は、元素選択性を有する放射光XAFS分析を利用し、様々なガラス固化試料における各元素の挙動を明らかにしてきた。さらに、イメージングXAFSの活用、XAFSデータの積み重ねにより、ガラス固化技術の高度化へ貢献する活動へと展開している。ここでは、それらの中から、高温スラグ融体の高エネルギーXAFS、高温ガラス融体のイメージング観察、およびイメージングXAFSによるホウケイ酸ガラス中の白金族元素分析の成果を紹介する。
米田 安宏
放射光, 28(3), p.117 - 123, 2015/05
2体相関分布関数(pair-distribution function)法は、短距離(ユニットセル以下)から中距離レンジ(ナノメートルスケールオーダー)の構造を可視化する手法である。従来は液体やアモルファスなどの非晶質物質に対して適用されてきたが、放射光X線やパルス中性子線などの光源を用いることで結晶化した物質にも用いられるようになった。強誘電体や磁性体、水素吸蔵合金など、ドメインを介在した物性はドメイン構造があるために従来の結晶構造解析で得られる平均構造ではドメイン内部の構造との間にずれが生じる。PDF解析は局所構造と平均構造の橋渡しをする手法として注目されている。本稿では特に、放射光を用いた結晶PDF解析について研究手法の開発と利用研究の概要を述べる。
石松 直樹*; 佐田 祐介*; 圓山 裕*; 綿貫 徹; 河村 直己*; 水牧 仁一朗*; 入舩 徹男*; 角谷 均*
放射光, 28(1), p.3 - 11, 2015/01
純鉄の圧力誘起-構造相転移における局所構造変化を、静水圧的高圧下におけるEXAFS測定によって精密解析した。マルテンサイト変態で生じるシェアー型とシャッフル型の原子変位を分離してそれぞれ決定することに成功し、相転移のトリガーがシェアー変形であることを支持する結果を得た。
矢板 毅; 小林 徹; 池田 隆司; 松村 大樹; 町田 昌彦; 奥村 雅彦; 中村 博樹
放射光, 27(6), p.315 - 322, 2014/11
福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性セシウムは、福島の空間線量を高める原因となっており、現在も除染作業が続けられている。本研究においては、土壌中におけるセシウムの構造および化学結合状態などを原子, 分子レベルより明らかにすることから、セシウムの土壌における中長期的安定性、線量の高い土壌廃棄物に対する化学除染方法の評価および開発、中間貯蔵施設等の保管方法に関する安全性評価に資する知見を得ることを目的として、基礎的知見を含めた"総合診断的な研究"を実施している。本稿では、この中でも粘土鉱物での存在状態を明らかにするため、放射光などX線分析および第一原理分子動力学計算を用いたセシウムの存在状態について得られた結果の一部について紹介する。
伊藤 孝憲*; 井川 直樹; 本間 徹生*
SPring-8の高輝度放射光を利用したグリーンエネルギー分野における電池材料開発, p.104 - 112, 2014/02
昨今の機能材料の多くは様々な元素を含み、複雑な構造をとることが多い。このような材料の結晶構造を明らかにするための強力な武器になるのが大型放射光X線実験施設や中性子ビーム実験施設である。本稿は、固体酸化物型燃料電池材料を例に、放射光X線や中性子ビームによってどのようなことがわかるか、またその魅力について紹介したものである。
齋藤 寛之; 高木 成幸*; 青木 勝敏; 折茂 慎一*
放射光, 27(1), p.10 - 19, 2014/01
高温高圧合成法は新規物質実現のための有効な方法の一つである。合成パラメータに圧力が加わることが新規物質の実現を可能にするが、同時に合成条件の探索を困難にする。ここで放射光粉末X線回折法による高温高圧その場観察を利用することで、合成条件の探索のみならず、反応プロセスの解明、生成物の熱力学的安定性の評価などが可能となり、得られた情報をもとにして合成研究を迅速に進めることが可能となる。これらの研究においては理論計算の支援が極めて有効である。本稿では著者らが進めている高温高圧下での新規金属水素化物合成研究の中から、特に放射光その場観察が有効に利用された最新の成果を紹介する。
Harries, J.; 繁政 英治*
放射光, 26(6), p.327 - 334, 2013/11
極端紫外(EUV)自由電子レーザー(FEL)光と高密度ヘリウムガスセルを利用して、EUV-FEL由来の超蛍光(集合的自然放出)の観測に世界に先駆けて成功した。超蛍光は、「量子光学」現象の一つであり、新世代光源の利用によって初めて観測が可能となった。より短波長域での観測の可能性を含めて、今後の展望についても議論する。
西畑 保雄; 松村 大樹
放射光, 26(2), p.57 - 63, 2013/03
インテリジェント触媒(自動車触媒)の自己再生及び触媒反応中の貴金属Pdナノ粒子の状態変化をXAFSにより「その場」観察し、従来型の担持触媒と異なった振る舞いを明らかにした。酸化銅の表面で高い触媒活性が得られるという理論的指針に基づき、貴金属の代替元素として主としてCuを検討した。金属ナノ粒子-担体間の相互作用を制御することにより、Cuの酸化還元特性を貴金属に近づけることができることがわかった。また、貴金属に比べて性能の劣る元素であるCuとNiを組合せたところ、NO還元性能が向上した。Ni-Cu合金ではNiの優先的酸化によりCu表面の還元状態が維持されていることがわかった。この様な設計指針により開発されたCu触媒は、初期品の限定的な条件下ではあるが、高い触媒性能を達成することができた。
河野 秀俊; 池田 思朗*
放射光, 26(1), p.38 - 43, 2013/01
SPring8に建設された短パルスかつ大強度のコヒーレントX線源は、生体高分子など単粒子での構造解析が期待されている。しかし、この従来の10億倍の輝度を持つ光を照射すると粒子は破壊されてしまうため、そうなる前の短時間(数fs以内)に回折パターンを観測しなくてはならない。そのため、測定される回折強度は弱いものになってしまう。われわれは、従来の方法よりも粗い回折パターンから位相回復できるベイズ統計にもとづいたアルゴリズムを開発したので、本稿で紹介する。
綿貫 徹; 川名 大地*; 町田 晃彦; Tsai, A. P.*
放射光, 25(3), p.176 - 183, 2012/05
高圧力を利用して中間価数状態のYb系準結晶を創り出した。これは準周期格子の各格子点上に電荷自由度を持つという新しいタイプの準周期系である。われわれは、Yb系準結晶を加圧しながら放射光X線吸収分光実験を行うことにより、準周期配列するYbが常圧の2価状態から高圧下では2価・3価の中間価数状態に変化することを実証した。Cd-Yb正20面体型準結晶においては、31.7GPaまでの加圧によりYb価数は2.33価まで増加し、そこでは準周期系の価数揺動状態が実現した。また、Yb系では価数増加が電子相関を強くすることに対応するため、さらなる価数の増加を目指してCd-Mg-Yb正20面体型準結晶を57.6GPaまで加圧したところ、Yb価数は2.71価に到達し、強相関電子系領域の価数値を示す準周期系を実現させることに成功した。
福田 祐仁; Faenov, A.*; Pikuz, T.*
放射光, 23(5), p.308 - 312, 2010/09
極端紫外自由電子レーザー(EUV-FEL)の波長領域における、フッ化リチウム(LiF)結晶の画像検出器としての性能を評価し、シングルショット高分解能画像計測が可能であることを明らかにした。また、LiF結晶を用いて、EUV-FEL集光スポット形状の精密測定を行い、同時に、LiF結晶のアブレーションが起こっていることを見いだした。
田中 啓介*; 鈴木 賢治*; 秋庭 義明*; 菖蒲 敬久
放射光による応力とひずみの評価, 238 Pages, 2009/10
本書では、第1章で結晶回折法による応力ひずみ測定の原理と、放射光の発生原理と利用できる放射光施設について述べた後、第2,3章で放射光による応力評価の基礎と実際測定のノウハウを説明する。次いで、第4,5章で放射光の各種の研究開発への応用例を述べ、さらに放射光による応力評価の将来技術、X線CTによる材料内部の欠陥評価や動的な材料特性評価など、応力評価以外の期待される将来の放射光技術の展開について述べる。発展する放射光による応力評価技術の基本,基礎をまとめるとともに実験のノウハウなどを述べており、実際に実験する場合の入門書として技術者・実験者に役立つことを願っている。また、将来に対する新しい展開及び産業利用への応用を述べることから、放射光の産業利用の一層の発展を引き起こすことも期待している。
竹田 幸治; 小林 正起*; 岡根 哲夫; 大河内 拓雄*; 岡本 淳*; 斎藤 祐児; 小林 啓介*; 山上 浩志; 藤森 淳*; 田中 新*; et al.
放射光, 22(4), p.202 - 209, 2009/07
SPring-8 BL23SUで改良・整備を進めてきた軟X線磁気円二色性装置を用いて、希薄磁性半導体GaMnAsのMn元素の磁気的特性を系統的な温度・磁場依存性測定を行って調べた。その結果、Gaと置換されたMnイオンと結晶格子の隙間に入り込んだMnイオンの間には反強磁性相互作用が存在しており、キュリー温度と結晶格子の隙間に入り込んだMnイオンの量とは明らかに相関していて、Gaと置換されたMnイオンの強磁性秩序を結晶格子の隙間に入り込んだMnイオンが阻害していることがわかった。
藤森 伸一; 斎藤 祐児; 岡根 哲夫; 藤森 淳; 山上 浩志; 芳賀 芳範; 山本 悦嗣; 大貫 惇睦
放射光, 22(1), p.11 - 19, 2009/01
超伝導を示す重い電子系化合物UPdAlの電子状態に対して、軟X線領域の放射光を用いた角度分解光電子分光法を行い、その電子状態に対する研究を行った。この化合物の超伝導と磁性を担っているU 5f電子に由来する重い準粒子バンドが実験的に観測され、U 5f電子は遍歴的な性質が強いこと、また、バンド構造は温度変化を示し、低温での遍歴状態から高温における局在状態へと変化することが明らかとなった。これらの結果は、この化合物の超伝導モデルに対しても重要な情報を与えている。